官庁の障害者雇用数水増し問題2018年08月29日 20:13

もと地方公務員である自分から見ると、やっと今ごろわかったかという問題。ほぼすべての役所で水増ししていることは疑いない。
この問題の根は意外に深い。
背景には、世論の公務員たたきがあるからだ。曰く「公務員は人が多すぎ、仕事をしない割に、労働条件や福利厚生が手厚い」。
この圧力によって、役所の人員はずっと減り続けて、ほぼ限界まで来ていると思う。障害者でなくてもきつい職場・労働環境になっている(うつ病などの休職者の数も多い、休職者は定員数なので正規職員による補充はなく残った職員の負担となる)。
障害者を雇用してしっかりその能力を発揮してもらうためには、環境整備が不可欠だが、上記世論がある限り、役所の労働環境改善は、「役人のお手盛り」と断じられかねない。世論は、それに敏感な議員たちによって追求され、議会ともめるのを避けたい行政当局を事なかれ主義に走らせる。
その結果が、とりあえず数字だけ合わせておこうという今回の事態の真相である。
障害者を含め労働環境の範たろう、民間は我々をこそ見習えという気概はなく、世論もそんな目では見ていない。
試しに役所と同規模の民間企業の障害者雇用率を見てみれば未達成は普通にあるだろう。この点が「民間なみ」ということを世論は許さない。従って、どの役所も抜本的な労働環境改善には取り組むまい。
たぶん、数年後に再び調査をすると、堂々と雇用率未達成か、再び水増しかのいずれかであろうと推測する。